3.2つに分かれる対応方針

「義務化部分だけ対応すれば良い」という考えもありますが、今回の法改正は企業側もメリットがあります。それは、「国税庁が指定する条件で、紙の証憑をスキャナで電子化して保存すれば、紙を捨ててOK」というものです。

紙の証憑を7年間保存せずに処分できるため、保管の負担を減らすことができます。その為、企業としては、「任意適用も対応し、紙の保管を無くす積極的な対応」、「義務化部分だけ応じる消極的な対応」の2パターンに分かれます。

対応方法は2つあるのですが、電子取引が多少でもあると、結果的に前者の任意適用にも取り組む事になります。それは次の理由からです。

4.電子取引データ保存の業務フローを考える

経理担当者の立場になって考えます。
電子取引データを収集する際には、以下の行動を取るはずです。

①どの取引が電子取引か把握する
②電子取引に対して電子データを提出するよう従業員に依頼する
③電子取引と仕訳情報を連携させる

ポイントは②にあります。これまでは経理担当者のデスクに紙を置くだけで良かった所、今回の義務化によって、電子データを経理担当者へ提出する業務フローを構築する必要が生じます。

経理担当者は、Aの取引は紙で処理、Bの取引は電子データを貰う処理と作業が複雑化します。その為、「全部オンライン上で証憑データ貰って管理すれば、楽じゃん」という結論に至り、「任意適用も対応し、紙の保管を無くす積極的な対応」を取る事になります。

この結論に至らない例外は、「主計業務を社長が行っているケース」です。主計が自分であれば、どの取引が紙で、どの取引が電子取引か分かり、義務化部分のみ対応する形でも問題が生じにくいからです。

逆に、経理担当者がいて、「任意適用も対応し、紙の保管を無くす積極的な対応」をするに至らない会社は、電子取引データの保存義務化を徹底できておらず、抜け漏れが発生している可能性が高いです。

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